ラクオリア創薬と中国ZTE Biotech社の合弁会社について再考 ‐ 主にAI創薬について

本記事の内容は、女心を読み取るのが下手な私のただの妄想です。そのため、本記事の内容を投資判断に利用しないでください。また、投資勧誘を目的としたものではありません。

 

2018年1月29日にラクオリア創薬が中国にZTE Coming Biotech社(以下、ZTE Biotech)との合弁会社の設立することを発表しました。

その発表のときに本ブログで記事を書きました。

ラクオリア創薬が中国にZTE Coming Biotech社との合弁会社を設立 ‐ 2018年1月29日

 

上記の記事を書いたときは、中国に進出するメリットとして、

● 中国が創薬事業を国策で進め始めているため、新薬開発の環境整備が行われ、新薬を素早く効率良く開発できることが期待される

● 中国では投資資金が豊富なため、開発に必要な資金を集めやすい

ということを考えていました。

 

しかし、他にも中国にZTE Biotechとの合弁会社をつくるメリットを思いついたため、そのことについて書きます。

 

 

最近、「AI創薬」が話題になってきています。

日本国内では、大手製薬会社と大手IT企業など含め50社連合でAI創薬の開発をする話があったり、最近では、DeNAが旭化成ファーマと塩野義製薬とAI創薬の共同研究を始めたりしています。

ラクオリアも「インタープロテイン」というAI創薬の会社と一緒に以前から研究をしています。

2017年12月1日に行われた「第4回 名古屋大学 – ラクオリア創薬 創薬シンポジウム」においては、「事例・判例から学ぶAI時代の医薬知財戦略」という講演タイトルで、ラクオリアが「AI創薬」をテーマに講演をしており、ラクオリアもAI創薬の今後の戦略を考えていることがうかがい知れます。

 

そんなこともあり、AI創薬に私も興味があり、AI創薬のセミナーが行われていたので参加しました。

参加したセミナーは、2018年2月23日に行われた「産業技術総合研究所人工知能研究センター」が主催の

【第21回AIセミナー】「創薬研究へのAIの活かし方 ~今AI創薬に求められるデータとキュレーション~」

というタイトルのセミナーです。

 

内容は、「産業技術総合研究所」、「理化学研究所」、「医薬基盤・健康・栄養研究所」、「農業・食品産業技術総合研究機構」の研究員が、日頃携わっているAI創薬研究における話、主にキュレーション周りについて講演するというものでした。

具体的な内容は、ここで説明するのが大変なのでしません。

製薬に関する専門用語が多々あり、ちょっとしか私も理解できませんでした。ただ、面白い話もありました。

 

このセミナーで、ある講演者が何度も述べていたことがあります。

「中国が国策で創薬事業を進めようとしているため、日本にとって脅威。ヤバイよヤバイよ。」

というようなことを何度か口にしていました(出川風にヤバイよヤバイよとは言っていませんが、ヤバイよ的なことは言っていました)。

その分野の最先端の研究をしている専門家が言うほどなので、よほどの脅威なのでしょう。

 

これを聞いて、

「中国の大手企業と先日合弁会社を設立することを発表したラクオリアはさすがや!」

「先のことを考えて、もう先手を打っている!」

と最初に思ったのですが、その後、ふと思いました。

そういえば、ZTEはIT企業だよなぁ~、って、もしやAI創薬のことも睨んで、ラクオリアはZTEと手を組んだのでは!?

 

ZTE Biotechと合弁会社と聞いたときは、

「なぜ製薬企業とではなく、IT企業なのだろう。韓国のサムスンもバイオの子会社があるので、韓国や中国辺りはIT企業がバイオをやる流れがあるのかな。」

とぐらいしか思っていませんでした。

しかし、よくよく考えたら、IT企業なら情報技術を活かして、今流行りのAI創薬やビッグデータの活用で新薬開発を効率化できるのではと思いました。

 

 

AIを導入する際に、ある大きな壁があります。

それは「質が良いデータをどれだけ大量に集められるか」です。

元のデータの質が悪いと適切にデータを読み込むことができなかったり、間違った結果を出力してしまったりします。

今回のセミナーは、キュレーションの話がメインでしたので、その講演でも、このような課題をどう解決しているかの現状を話していました。

質が悪いデータとは、例えば、フォーマットが色々異なっていたり、データ自体に間違いがあったりすることなどです。

また、創薬に関して言いますと、一般公開されている化合物データがある一方、製薬企業が内部に蓄えている非公開データも多くあり、それらの他社の非公開データをAIに活かすことができません。

データはあればあるほど色々な解析ができるため(AI分野で言うなら、多くの「学習」ができるため)、AIではデータを多く利用できることが大きなメリットになるのです。

 

これらを踏まえると、中国の現在の独裁的な政治は、中国で国策になっているAI技術の発展にも大きなメリットをもたらします。

例えば、プライバシー問題があるため、人の行動履歴等に関するデータは非公開にしようという流れがありますが、そうした場合、それらのデータをAIでフル活用できません。

しかし、中国では、「プライバシー?でもそんなの関係ねぇ!」と上が言えば、活用できてしまうのです。

また、データのフォーマットについては、各社が自社のに統一したいと思うため、各社間で異なるデータフォーマットが乱立することがあります。

しかし、中国では「中国国内で統一しろ!出し抜く企業があったら、あれやぞ、ええんか。」と上が言えば、各社は統一せざるを得なくなるのです。

 

よって、中国では「質が良いデータを大量に集められる」ことができ、AI技術が大きく伸びる可能性があるのです。

ちなみに、既に、中国のAI技術は近いうちに米国を抜く、いや、もう抜き始めているのでは?と言われ始め、米国が「ヤバイよヤバイよ」と言っているような状況です。

 

 

ということで、中国の国策である「AI × 創薬」は他国にとって脅威になるのです。

創薬を国策で進めているため、化合物のデータだけではなく、今後、臨床試験のデータも多く集まって来ると考えられます。

各社が保有するデータを全部公開してしまったら他社間の競争原理がなくなるため、どこまで中国国内企業間で公開できるようにするかはわかりませんが、おそらく他国と比較し、効率良くデータを利活用できる枠組みを作るのではと推測します。

また、もちろん中国のことですし、中国の国策なので、中国国内で集められたデータは、中国企業でしか利用できないとするでしょう。

つまり、中国のデータを使いたければ、他国企業は中国企業と手を組むしかないというわけです。

中国は信用ならないから手を組みたくないと言っていると、どんどん技術に乗り遅れ、衰退していく可能性すらあります。

 

 

ここで、面白い記事があります。

AI創薬、中国・深センが中心‐山際衆院議員「中国と競争しては駄目」

人工知能(AI)を活用した創薬を推進するためには、「中国との連携が必須になる」と強調した。

「もはや中国と争ってトップになるとか、追い越すという考え方ではなく、中国と組んで日本と同じように中国市場を使えるようにしないと駄目」と述べ、中国に対してパートナーの意識を持たなければ、国際競争に勝ち抜けないとの考えを示した。

(記事の無料公開部分を一部抜粋)

 

このように中国に危機感を持っている政治家もおり、中国とパートナーを組む意識でないと今後生き残れないといったことを述べています。

この記事を見ると、中国企業とパートナーになったラクオリアは、さすがや~と称賛したくなってしまいます。

 

また、2018年2月24日に、Googleやテンセントらが、米国のボストンと中国の深センを拠点とするバイオ企業XtalPiに出資することが発表されました。

XtalPiは、AIやクラウドコンピューティング、量子物理学などを用いた医薬品の設計プロセス改善を手掛けているとのこと。

テンセントは、中国のIT企業であり、2018年1月末時点で、世界の時価総額ランキングがFacebookを抜き5位の超変態企業です。

その中国テンセントとGoogleが、米国・中国を拠点とするバイオ企業に出資するということは、世界大手IT企業からしてもバイオ、そして、中国が熱いと思っているとことがわかります。

ちなみに、テンセントは、2018年2月に偽薬対策で製薬大手企業のアストラゼネカとも提携を発表しています。

 

 

以上のことより、ラクオリアが中国の大手IT企業のZTEをバックに持つ企業と手を組んだことは、AI創薬・ビッグデータ利活用においても、今後大きなメリットとなってくると予想されます。

2018年2月26日時点では、私が簡単にググった限りでは、ZTEはAIの研究開発はしていますが、AI創薬という話は見当たりませんでした。

また、ラクオリアとZTE Biotechとの合弁会社設立のIRにも、ZTEが保有する情報技術を活かしてうんぬんとは書いていなかったため、AI創薬については、ZTE側もラクオリア側も現時点では何も考えていないかもしれません(淡くは考えていそうですが)。

ただ、今後、AI創薬の話が出てくるかもしれません。

なぜIT企業がバックにいる相手と合弁会社を設立したのか、その疑問がすっきりしました。

 

合弁会社設立の発表は、市場では薄い反応でしたが、今後の動向次第で、とてつもなく大きな思惑になる可能性を秘めています。

日本にとって中国が脅威になるのではなく、日本大手製薬企業、いや、世界的大手製薬企業にとってラクオリアが脅威になる日が来ることを期待します。

コメント

  1. しろうなぎいぬ より:

    エッグさん、こんばんは^^
    やっとRQ941のⅠ相終了のIRが出ましたね!!
    結果も良好だったみたいで何よりですね!!
    私はひそかに2年前の武田との契約の化合物はRQ941だったのでは?と読んでいます。
    世界への導出はZTEとの合弁に、そして日本国内の導出は武田に。。。
    武田はこの発表を待ってたのかも?
    そう仮定すると、導出契約は目前??
    妄想が広がります(笑)

    • >> しろうなぎいぬさん
      良好な結果で本当に良かったです!
      総合的に考えて、私もRQ-00310941は武田薬品かなと思っていたんですが、ZTEの件が出てきて、ラクオリアの資料を見るとそれで導出一件落着なようにも見えるので、どうなのかなぁ~といった次第です。
      武田薬品の例の発表から2年弱経つので、そろそろ何かしらの新しい発表が欲しい所です。

タイトルとURLをコピーしました