ついに来たARのキラーアプリ「ポケモンGO(Pokemon Go)」

任天堂ポケモン(ポケットモンスター)のコンテンツを利用して開発されたスマホゲームアプリ「ポケモンGO(Pokemon Go)」が、世界中で大ヒットして社会現象になっています。

ポケモンGOは、米国のNiantic(ナイアンティック)が開発したスマホゲームアプリの「Ingress(イングレス)」を基盤に開発された、AR(拡張現実:Augmented Reality)を用いた位置情報ゲームです。Android、iOSのプラットフォームに対応しています。

Nianticは、Google(グーグル)の社内スタートアップから独立した企業です。

また、ポケモンGOに、「株式会社ポケモン」も関わっています。

ちなみに、ポケモンの開発元は、実は、任天堂ではなく、「ゲームフリーク」という会社です。

今までARのゲームやサービスは、いまいち流行らず、一発ネタで終わっていました。

一部業務では、業務効率化を目的にAR機能を取り入れたシステムを導入している所もありますが、多くの企業が導入しているわけではなく、実験検証に近い形です。

また、一般ユーザがARとして馴染み深いのは、観光用のARによる観光ガイドです。最近は、観光地でARの説明書きをよく見るようになりました。しかし、そのARによる観光ガイドを利用しているユーザを私は、見かけたことがなく、普及しているとは言い難い現状です。

つまり、ARは、あまりビジネスに結びついていませんでした。

同時に、ARを利用したキラーアプリが登場していなかったともいえます。

そこで、登場したのが「ポケモンGO」です。

一過性の流行で終わってしまう可能性もありますが、これだけの世界中での大ヒット、社会現象を巻き起こして、老若男女の多くの人がARを身近に利用している現状からして、「ポケモンGO」は、ARのキラーアプリと言って良いでしょう。

ついに、来たか…といった感じです。

しかも、驚異なのは、今までARを普及させようと多くの人が頭をフル回転させ、ものすごく考え、がんばっても、ARを普及させることができなかったのに、「ポケモン」というコンテンツだけで、ARが普及してしまったことです。

「だけ」というのはおこがましく、「ポケモンがそれだけすごかった」、「コンテンツ力が半端なく凄まじかった」といえます。

ポケモンGOの基盤になっている「Ingress」も一時期一部で話題になったものの大ヒットには至らず。しかし、それにポケモンという要素を加えるだけで、この大ヒット。

ビジネスってなんだろう…、マーケティングってなんだろう…、技術ってなんだろう…と今までARの普及をがんばってきた人たちは思ったでしょう。常識を覆されました。

今回の件でわかったのは、「コンテンツは偉大」ということです。

日本発祥のポケモンコンテンツ力、キャラクター力は、ディズニーにも勝るのではないかと思えるほどです。

という話も重要ですが、ここからが次の本題です。

ポケモンGOの流行りを見て、ネットで、「ポケモンGOは、無料アプリだから課金で稼がないといけない。任天堂の株も騰がっているが、上手く課金させないと儲からず、株価も下がるだろう。」みたいなことを書いている記事がありました。

この記事を書いた人は、ポケモンGOをただの一般スマホゲームアプリとしか捉えていません。

しかし、ポケモンGOは、単なる一般的なスマホゲーム課金ビジネスにだけにとどまらず、バーチャル世界を融合させた新しいビッグビジネスに繋がる可能性があります。

ポケモンGOには、「ポケストップ」「ジム」というスポットがあり、そのスポットでは、アイテムを入手できたり、色々な機能が備わっています。そのため、ゲームプレイヤーにとっては、重要なポイントになっています。

名所や有名なモニュメント、公園などがそのスポットになっており、海外では、教会がそのスポットになっていたりするため、普段教会に行かない人が、教会に行くようになったとネタにまでなっています。

そして、今話題になっているのが、マクドナルドがポケストップやジムになるのではないかという噂です。

つまりは、バーチャルワールドとリアルワールドのロケーションを融合させた「スポンサー・ロケーション」という新しい広告ビジネスです。「スポットビジネス」とでも言いましょう。

バーチャル世界でのビジネスとして一時期話題になったものに「セカンドライフ」があります。

セカンドライフが出てきたときは、セカンドライフ内のバーチャル世界の地価が高騰するという現象が起きました。結局、セカンドライフ自体、今のところ失敗に終わっていますが。

そのセカンドライフが成し得なかった(終息してしまった)バーチャル世界に紐付いた広告ビジネスをポケモンGOが成功させる可能性が出てきています。

しかも、ポケモンGOは、ARであり、全てバーチャル世界に閉じているわけではなく、仮想と現実を行き来するため、実際に、ゲームユーザは、現実世界のスポットに訪れます。

つまり、マクドナルドをポケストップなどのスポットにしたら、大量の「ゲームユーザ = お客さん」がマクドナルドに押し寄せて、マクドナルドで買い物をするので、売上高が上がります。

Web広告やテレビCM、チラシなどで宣伝しても、お店まで来てくれる人は、少数です。

それを考えると、ポケモンGOのスポットビジネスは、今までの広告ビジネスよりも高付加価値であり、広告ビジネスを一変させる可能性を秘めています。

そうなったら、色んな企業が飛びつきますし、大規模な広告料を出すでしょう。

また、ある国でしか出現しないポケモンなどを用意したら、インバウンドビジネスにも繋がります。

ポケストップには、ポケモンGOユーザが集まりますので、マッチング出会い系ビジネスにも繋がります。

このように、ポケモンGOがもたらす可能性がある新規ビジネスは計り知れません。

ちなみに、実は、ポケストップは、Ingressでいう「ポータル」に相当し、Ingressのときも上記のようなロケーションビジネスを行っており、ローソンと提携コラボし、ローソンをポータルに、また、町おこしにも利用されていたりしました。しかし、Ingressのときは、このビジネスを確立するところまでは、行きませんでした。

さらに、重要な話があります。

もし、ポケモンGOが、廃れなく流行り、さらに、機能を拡張し続けることがあったら、ポケモンGOがARの、仮想世界の一大プラットフォームになる可能性があります(実際には、ポケモンGOというか、ポケモンGOが乗っているAR基盤)。

日本では、ARのプラットフォームとして、「セカイカメラ」が話題になりましたが、そのセカイカメラも不発に終わったARプラットフォーム化をポケモンというコンテンツ力で実現するかもしれないのです。

プラットフォーム化したら、現在ある観光用ARなども全てそのプラットフォームに乗っかって来るでしょう。

また、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、スマートグラスの「Google Glass」が出てきたときに、「これからは、ウェアラブルコンピュータによるARの世界だ!電脳コイルの世界だ!」と盛り上がりましたが、その盛り上がりもいつの間にか消え去っていました。

しかし、ポケモンGOがその「Google Glass」のコンセプトの世界を実現する突破口になる可能性があります。

現在、ポケモンGOは、歩きスマホになってしまうため、事故が起こり、それが問題になっていたり、ゲームをするのに、スマホを取り出す手間があり不自由だったりしますが、スマホがGoogle Glassのようなスマートグラス型のウェアラブルデバイスに取って代われば、歩きスマホはなくなりますし(ただし、注意散漫になり余計に事故るかも)、スマホを取り出す手間もなくなります。

ポケモンGOの周辺機器として、ポケモン検知用デバイス「Pokemon GO Plus」が発売されます。

このデバイスは、ポケモンが近くにいることを光と震動で教えてくれる、リストバンド型のデバイスです。すなわち、ウェアラブルデバイスです。

ウェアラブルデバイスの1番大きな欠点として、身に着けるのが邪魔というのがあります。

しかし、ポケモンのゲームを楽しむためなら、ゲームユーザは、「Pokemon GO Plus」を余裕で腕に巻くでしょう。

さらに、腕ならまだしも顔にかけるという邪魔さ&かっこ悪さがある「Google Glass」のような眼鏡型のウェアラブルデバイスもポケモンGOを楽しむためなら、着用して、街中を歩く可能性があります。「Google Glass」ならぬ「Pokemon Glass」です。

今まで、ウェアラブルデバイス、特に眼鏡型のデバイスを装着するデメリットを上回る価値を提供するサービスは、ほぼなかったのですが、それをポケモンというコンテンツが、デメリットを上回る価値を与えるかもしれないのです。

そして、今まで述べたことがもし全て実現したとしたら、恐ろしいことがあります。

それは、GoogleがARの世界も牛耳る可能性があることです。

ポケモンGOの基盤は、Nianticのものなので、現在、NianticがGoogleとどのぐらいのビジネス的な関係にあるかわかりませんが、もし、このAR基盤が一大プラットフォーム化した場合は、Nianticは、Googleと密に連携することになる確率が非常に高いです。

なぜなら、ARの理想の世界の1つとして、目で見た物体に対して、情報検索を瞬時に行うということがあるからです。

PCやスマホでわざわざ文字を入力してググるのではなく、Google Glassのようなデバイスを通して、目で見て、この情報が欲しいと思ったら、瞬時に検索され、ARとして検索結果の情報を現実世界に重畳するのです。

それを実現するために、現在、Googleが保有しているネットの検索機能、技術を利用するでしょう。

上手くプラットフォームを作り上げることができたら、VR(Virtual Reality)にも適応できるかもしれません。

ARやVRをずっと利用していると、現実と仮想がわからなくなってくる没入感があるため、自然に何も不思議なく、AR、VRからの情報が脳に刷り込まれるようにもなるでしょう。

ここまで来たらもうGoogle世界国家樹立です。

Google様、神様です。

独占禁止法とかそんなレベルじゃねぇ!そもそも、独占禁止法の定義って何?とわけわからない状態になるでしょう。

私としては、以上のような未来が来てくれたら、漫画の世界、SFの世界の未来が来たって感じがして、面白いので、歓迎です。

なので、ポケモンGOが原因による事故は、起きないようにはして欲しいですが、必要以上の規制が入ったりして、技術の発展が滞ることがないと良いです。

ということを考えていると、既に割高、加熱し過ぎといわれている任天堂株もまだまだ上昇余地があるように思えてきますよね(私は、任天堂株を買いませんが)。

ただ、Nianticと任天堂、株式会社ポケモンの利益の取り分などは、どうなっているのでしょう。

普通に考えたら、システム開発、技術提供しているNianticの取り分が大きい気がしますが、ポケモンというコンテンツがあってのここまで大ヒットなので、収益の影響力を考慮すると任天堂、株式会社ポケモンの取り分の方が大きくてもおかしくはありません。

「ポケモンなしには、この成功はなかった」ですから。

それにしても、ポケモンはすごかった。

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