富士通がテレワーク(在宅勤務)導入の一方、IBMは廃止

本ブログ記事では、「テレワーク」と「在宅勤務」を同じ意味で扱います。

 

IT企業の富士通が2017年2月28日に、「テレワーク」を導入することを発表しました。

ICTを活用した富士通の「働き方改革」(プレスリリース)

 

へぇ~と思ったのと同時に、そういえば、先日、こんな記事があったのを思い出しました。

IBM: 自宅勤務制度の廃止を従業員に通告(NewsIn)(リンク切れ)

 

IBMといえば、富士通からしたらライバル企業です。

そのIBMが既に導入していたテレワーク制度を廃止し、一方の富士通は、新規にテレワークを導入。同じタイミングで、それぞれの企業が逆の施策を実行。

非常に面白いです。

 

テレワークは、米国の企業が先駆けて導入してきて、後追いで日本の企業がグローバル化、ワークバランスうんぬんと言い、導入してきています。

しかし、その先駆けでテレワークを導入していたIBMが、テレワークより、オフィスで従業員を働かせた方が会社にとって利益になるという(現状の)結論を導き出しました。

テレワークは、様々なメリットが謳われていますが、そのメリットを置いてIBMが出した見解は、皆が物理的に同じ場で働いた方が、チームワーク力が増すといったものです。

そして、チーワークが良いほど、会社全体で見たときに、生産性が上がると考えたのでしょう。

 

今回の富士通関係の日経の記事では、以下のように書かれています。

延べ1200人を対象に2年間試行した結果、生産性が向上し、安全性の確認が得られたため正式導入を決めた。

IBMのテレワーク実施・議論の結果とは異なり、富士通では、生産性が上がったという話です。

「生産性の向上」をいったい、どのような指標から算出したのかが非常に気になります。

指標の対象、算出方法で、テレワークによって生産性が上がったのか、下がったのか、どちらにでも捉えることができてしまうので、富士通とIBMの見解の違いは、指標の見方で変わってきている可能性があります。そういうのも含め、今回の富士通とIBMのニュースは、非常に興味深いと思いました。

 

私の考えでは、テレワークは、対象の人物が皆、賢く、真面目である、つまり、聖人であれば非常にメリットを享受すると考えています。

テレワーク自体に、良し悪しはなく、その時々の状況環境働く人の性格やモチベーション・チームの性格などによって、テレワークであった方が良いときもあれば、逆に、物理的に皆が集まった方が良いときがあります。

テレワークは、あくまで、状況に合わせた効率が良い働き方の形態(手段)の1つに過ぎません。

そのため、状況に合わせて、生産性が最も上がるように、柔軟かつ適切に臨機応変に働く形態を変更でき、その形態に自身を律し、合わす能力があるかどうかが重要です。

また、従業員が少ないベンチャー企業の場合は、従業員全体を見渡せ、柔軟に対応しやすいですが、大企業の場合は、全体を管理することが困難であり、従業員の2割が聖人だったとしても、残りの8割が聖人でないと、個々の対応がしきれず、IBMのように、一斉にテレワークをやるぞ!と言ったり、一斉にテレワークをやめるぞ!!と言ったりすることになってしまいます。

そのようなこともあり、今回のIBMの判断は、個々の小さい単位で見たのではなく、会社全体の生産性を考えての結果でしょう。

 

IBMがテレワークを廃止するからといって、テレワークが大企業に向いていないというわけではありません。

上記にも書きましたが、状況や環境、働く人などによって、テレワークが効率良く運用されるかどうかで、結果は、変わってきます。

それには、人種も影響してきます。

例えば、日本人と欧米人は、労働に対する考えが異なります。

欧米人は、労働を不必要にしないという傾向があり、人によっては、労働は奴隷がするものだという考えの持ち主さえいます。

そのため、そのような考えの持ち主の人は、テレワークで、誰からも直接監視されずに済む環境にいると怠けやすくなる可能性があります。

一方、日本人は、サービス残業もやってしまうようレベルで仕事に対して真面目(これが真面目といえるかどうかはさて置き)で、社畜化されているので、他人から監視されにくいテレワークでも、バリバリ仕事をする人が欧米人と比較して、多いかと推測します。人によっては、テレワークによって職場という物理的な特別な場に縛られなくなることで、時間的制約が薄れ、さらに、仕事をしてしまうかもしれません。

こういったこともあり、富士通のテレワークは、IBMの結果とは異なり、効率良く回る可能性があります。

ちなみに、富士通は、残業申請せずに残業しようとするとPCに利用制限がかかる仕組みを導入するとのことです。

 

以前、テレワークを導入したITベンチャー企業勤めの人と話したのですが、テレワークを導入する前とした後では、導入した後の方が、チームの規律が緩くなり、だらけた雰囲気が出てきてしまい、このままではヤバいので、なんとかしないといけないと述べていました。

まさに、今回、IBMがテレワークを撤廃した理由の1つかもしれないようなことが起こっているのだと推測します。

この話からすると、日本人だからといって、上手くテレワークが回るとは限らないかもしれません。

場が支配する力は、強力です。

 

 

話は戻り、富士通がテレワークによる「生産性の向上」をいったいどのような指標から算出したのか、それはわかりませんが、私が考えるテレワークがもたらす「生産性の向上」の指標に繋がる事柄(メリット)を以下に列挙します。

 

通勤中の満員電車によるストレスがなくなる

とにかく日本の都会の電車の通勤ラッシュは、ストレスでヤバいです。

電車に乗っているだけで、ストレスで、頭が禿げるレベルです。

夏はおっさんの汗でベトベトになり、痴漢の冤罪も気にしないといけなく、ホームが混み過ぎて、線路に落ちそうになったり、満員電車内で身体が圧迫され身体がおかしくなったりすることもあり、まさに戦場です。

満員電車に乗らなくて済むようになり、それにより精神的ストレスがなくなれば、その分、疲労もなくなり、仕事を効率良くできるようになります。

 

通勤時間がなくなる

片道1時間30分以上も掛けて通勤している人がたくさんいます。

その通勤時間分を労働時間に回せば、1日に多くの仕事をできるようになります。

また、その通勤時間分を睡眠時間などに当てれば、寝不足なども減り、快適に仕事ができるようになります。

 

身だしなみを気にする必要がない

女性は化粧をする必要があったり、男性も色々身だしなみを最低限は整える必要があります。テレワークによって、直接他人に姿を見せる機会が減れば、身だしなみを気にする必要も少なくなり、身だしなみを整える時間を有効活用できます。

また、スーツなど決められた格好で働くよりも好きな格好の方が働きやすい人もいます。

裸族の人は、裸で仕事をした方が生産性が上がるでしょう。私も家では、パンツ1枚で、プログラミングしたりするので、そっちの方が快適に作業ができます。

 

人間関係が悪い人と会わなくて済む

パワハラ上司やセクハラ上司、お局、いじめをする人、仕事をせず、ひたすら他人に愚痴説教ばかりしているおっさんなどが職場にいると、その存在そのものが大変なストレスになります。

パワハラ上司は、その人の気配がもはやパワハラであり、セクハラ上司は、顔がもはやセクハラです。

パワハラ上司やセクハラ上司とすれ違うだけでも、半径10メートル圏内にいるだけでも吐き気を催す人がいるでしょう。

そのような状況の場合、仕事に対する活力も出ず、頭も回りません。そのため、そのような害悪な人と物理的に接しない環境にいることが精神衛生上良く、仕事の効率にも繋がります。

害悪な人は、だいたい複数人に害をもたらしているので、いっそのことその害悪な人を僻地に飛ばし、テレワークさせれば、皆が幸せになり、生産性がアップします。

 

体臭が臭い人から遠ざかれる

ワキガなのか、単にお風呂に入っていなくて汚いだけなのか、たまに、本当に臭い人がいます。

その人がエレベータに乗ったら、エレベータがしばらく臭いまま、その人が通った道さえも少なくとも1分ぐらいは臭いままという強烈な異臭を放つ人がいます。

異臭を放つ人の近くで仕事をしている人は、いったいどうしているんだろうレベルの臭い人が世の中にはいるため、そのような人から避けられると鼻をつまんでいた手を離して仕事ができるようになります。

異臭を放っている人も好きで異臭を放って、他人を迷惑させているわけではないので(そう思いたい)、お互い離れることでお互いハッピーになれます。

 

体勢(姿勢)が自由

事務所の場合は、身体に合わない高さのイスや机で作業をすることがあり、腰が痛くなったり、ムズムズしたりして、非常に身体が疲れます。

家の場合は、自由な大勢で仕事ができるため、身体に負担を掛けずに仕事をすることができます。

また、周囲の目を気にする必要がないので、気軽に身体をストレッチして、リフレッシュもできます。

私は、布団に入って、ぬくぬくしながら仕事をすれば、おそらく生産性が向上します。

 

居眠りできる

周囲の目があると、なかなか居眠りができません。

5分だけ寝れば、目が覚めて、仕事が捗るのにといったことがありますが、その5分を寝ることができず、睡魔と1時間以上闘いながら、手があまり進まず、考えることもできず、仕事が捗らないということがあります。

そういうときに気楽に居眠りすることができれば、全体で見たときの生産性は向上しているでしょう。

 

Enterのッターン!を聞かなくて済む

キーボードのタイピングが非常にうるさい人がいます。

地獄のミサワかよ!と本当に思うほど、Enter(エンター)キーを「ッターン!」する人がいて、何メートル先の人すらうるさいと思うことがあります。

Enterにでも恨みあるの?Enterをッターン!することでストレス発散していない?(周囲の人らにとっては、それがストレスになっている)という人がいます。

カチャカチャカチャ、ッターン!カチャカチャカチャ、ッターン!!がずっと聞こえてくると、すごいイライラして、本当に仕事にならいときがあります。

そのため、周囲に気になる騒音がない環境で仕事ができるのは、捗ります。

 

1人の方が集中できる

周囲に人がいると、それだけで集中力が低下することがあります。

とにかく集中して作業がしたいときは、1人だけの環境が良いです。

 

うんこ、おなら、鼻水出し放題

家で仕事をすれば、

1日に何回もうんこをするウンコマンは、トイレの混み具合等を気にせず、自由にトイレに行けます。

腸にガスが溜まりやすいプーマンは、周囲を気にせず、おならをぷーぷーできます。

花粉症・鼻炎持ちの鼻たれマンは、周囲を気にせず、鼻水をズーズー出せます。

好き放題に出せるものを出せるため、身体にも良いですし、うんこやおならや鼻水に気を取られなくて済むため、集中して仕事ができます。

 

育児できる

テレワークのメリットでよく言われているのが、育児をしながら仕事ができることです。

育児に気を取られるため、生産性の観点だけを見た場合、生産性が上がるのかどうかは、なんとも言えないですが、「今、保育所にいる子どもは、大丈夫だろうか」など、育児に関する心配事や不安が減って、結果的に、メリハリをつけて仕事ができて、生産性が上がる可能性があります。

漫画「よつばと!」の“とーちゃん”も時には、“よつば”の相手をしながら翻訳の仕事をしています(よつばの相手をしているというか、よつばに邪魔されているようにも見えますが)。

 

猫とにゃーにゃー癒される

猫は、可愛いです。

最近は、職場で猫を飼っている企業も出てきています。

猫がいることで、癒され、気分良く仕事ができます。

猫を飼っている人は、にゃーにゃーしながら仕事ができ、仕事が捗ります。

 

無駄な打ち合わせ(会議)を減る

皆がバラバラな場所にいると、集まりにくくなるため、打ち合わせがしづらくなります。

そのため、不必要な打ち合わせがなくなり、必要な打ち合わせしか設定をしないようになります。

 

ハワイで仕事ができる

テレワークは、場所を問わないので、上手く仕事ができる人は、海外旅行をしながらでも仕事ができます。

ハワイの海辺で、さわやか気分で仕事をすれば、生産性向上間違いなし!

 

 

以上、生産性向上に繋がることを書きましたが、もちろん、怠けやすくなるなどのデメリットもあります。

他に例えば、打ち合わせがしづらくなることによって、不必要な打ち合わせがなくなるというメリットは、気軽に、ブレストの打ち合わせをしたいと思っても、なかなかできないというデメリットにも繋がります。

チーム内の人が、皆チャットに慣れていて、お互いが円滑にコミュニケーションできる雰囲気のチームの場合は、チャット上でもブレストができますが、そうでない場合は、対面で打ち合わせをした方が効率が良い場合があります。

最初の方でも述べましたが、テレワークが効率良く運用されるかどうかは、状況に合わせて、柔軟に仕事の仕方を変えられるかどうかがカギです。

 

 

今回の富士通のプレスリリースの最後の方の「今後の取り組み」の項目に、以下の文章が書かれています。

AIなどを活用した生産性の向上の社内実践を進め

いつの日か、不必要な上司やマネージャーがAIに置き換わり、それにより、皆が幸せになり、会社全体の生産性が向上する日が来ると良いですね。

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