以前、「Success Holders(サクセスホルダーズ)」(以前の社名は「ぱど」)の新規事業が何なのかを予想し、株を買ったという記事を書きました。
成功を求め、ぱど(Success Holders)株を買ってみた
そして、「Success Holders」が新規事業の内容を発表しましたので、予想が当たっていたかどうかなどの振り返り記事を書きます。
新規事業内容が超斜め上だった上に、私の立場的に新規事業内容に対してネガティブな意見があるため、本当は好材料が出て株価が高騰してから書きたかったのですが、なかなか株価が高騰する好材料が出ないので、書くことにしました。
新規事業
「Success Holders」が発表した新規事業の内容は、「IT人材派遣」業でした。
Success Holders(サクセス ホルダーズ)がIT人材の不足を解消する新規事業「テクノロジー事業」を開始
言葉としては「テクノロジー事業」と記載していますが、説明内容は「IT人材派遣」です。
事業内容も以下のように書かれています。
DX実行における人材不足など、ITに関する課題を抱えるお客さまに対してIT人材を提供し、最適な解決策及び技術力を提供します。
「テクノロジー事業」という名前にした理由は、将来的にはIT人材派遣以外にも色々やると思われるので主語を大きくしたのだろうと考えられます(あと、IT人材派遣事業という響きがあまりよろしくないというのもあります)。
私の予想は、UUUMと提携して、YouTuberと色々やるのだろうというものだったため、全く外れました。今後来る可能性はなくはないですが。
社名変更前に「ぱど」が、あれだけ期待させるような資料を発表していたため、驚くようなものが来ると思っていましたが、出てきたのは超カタい、かつ、世間が「うぉー!」とならないような事業でした。
そのため、新規事業が発表されても株価は上がりませんでした。
発表を見た時に、IT人材派遣事業にどのようにフリーペーパー事業が絡むんだよとツッコミを即座に入れたくなりました。
新規事業発表前の説明文章によっては、新規事業がフリーペーパー事業と関係あるのかないのか微妙な文章だったため、どっちつかず何なんだろうなぁ~と思っていましたが、IT人材派遣業だったので、どっちつかずになっていたのだろうと理由がわかりました。
「Success Holders」側の説明には以下のように書かれています。
当社がこれまでメディア事業において培ってきた、多種多様なフリーペーパーの発行スケジュール調整、地域毎に異なる紙面のカスタマイズ、流通に関する人員配置、など煩雑な業務の管理・遂行能力を活かすべく、テクノロジー事業への参入
会社としては、これが既存のフリーペーパー事業を活かしているという言い分でしょうが、私からしたら超無理矢理感、こじつけ感があります。
せめて、「テクノロジー事業への参入」ではなく、ITの業種に限定しない「派遣事業への参入」ならわかるのですが、この説明だけだと、ITと関係ないやんけ!と言いたくなります。
一応、派遣業の中でもITの分野に絞ったと言えば、筋は通るっちゃ通りますが、元々、新規事業はIT関連をメインに主張していたので、とても間接的だなという印象です。
さすがに、これは予想できないです。
ちなみに、新規事業発表前に私は、「Success Holders」は社内でITエンジニア不足だろうし、畑野氏が「FUNDBOOK」のマッチングプラットフォームをやっているから、ITエンジニアマッチングサービスを作ればいいのでは?私が趣味で作って儲けようかなと思っていました。
無難に手堅く儲けようとするなら、誰でもこういう発想になるというわけです。
または、IT企業を起業すると言ったり、IT関連事業をやっていて儲けが出なくなってきたときにやり出すことに、受託開発があります。
もしも私が明日からIT関連で起業して、1年以内にある程度稼げ、それがゲームのクリア条件と言われたら、まず最初に受託開発を考え、次に、ITエンジニアと企業のマッチングサービスをやろうと考えます。
マッチングサービスについては、今回の「Success Holders」の新規事業内容と同じ部類です。
つまり、無難に、手堅く、他のビジネスと比較すればリスクが低く、ある程度稼げる可能性がある事業をやると「Success Holders」が発表したと言えます。
新規事業の予想は、予想し得るものでしたが、あの臭わせっぷりの資料を出されたら、皆が驚くようなものが来るのだろうなと考えてしまう状況だったため、言い訳になりますが、今回は予想しようがないもので、予想ゲームとしては最初から成立しなかったと言えるでしょう。
そもそも、あんなにも大胆に臭わせる必要があったのだろうか。
おそらく「Success Holders」は、IT人材育成、派遣から始め、後々はSIerやITコンサルのような企業として成長し、それと並行して自社サービスを色々出していく成長戦略を描いているのではと思います。
最近の株式市場で話題の企業でいうなら、企業の「チェンジ」辺りのポジションを狙っていそうです。
IT人材派遣業について
IT人材派遣と聞いて、IT業界の人が最初に思いつく言葉が「SES(System Engineering Service)」です。
SESは、ITエンジニアの派遣のようなものです。
「ITエンジニアを派遣(相手企業に向かわせる)する」という意味なら、SESも派遣も同じです。
私は、SESは、ITエンジニアの派遣バージョンとしか思っていなかったため、IT業界では「派遣」のことを「SES」と呼ぶのだなというくらいにしか思っていませんでしたが、ネットで検索してみると、正確にはSESと派遣には契約の違いがあるそうです。
しかし、そこまで気にして、SESと派遣の言葉を使い分けている人がいるかは不明です。
「Success Holders」がSESとは言わずに派遣と言ったのは、言葉を使い分けているのか、それともIT業界以外の人もわかりやすいように派遣という言葉を使ったのか、社内の人がSESという言葉に疎くて、派遣という言葉を使ったのか、と疑問に思いました。
それは、さておき、ここではいったん、SESと派遣は同義としましょう。
IT業界勤めの人に「SESってどうなの?」と聞くと、「日本のIT業界の闇」というようなことを返答する人がいるでしょう。
なぜ闇かは、昔から語られまくっているので、知りたい人はネットで検索してください。
簡単に言うと、SESという事業が日本に存在することで、ITエンジニアが給料面や働く環境面等で不当な扱いになってしまっているからです。
ITの業種関係なく、派遣でもそういう話をよく聞くと思います。
派遣が日本社会を悪くしたと。
SESは、さらにその闇を深くした感じです。
そのため、「IT人材派遣」という言葉を聞いただけで、ネガティブな感情が湧き、
『ITエンジニアの立場からしたら全然「Success(サクセス)」じゃねーじゃん』、
『企業や株主はこれで儲かるかもしれないけど、ITエンジニアがさらに不当な扱いになっていき、日本のIT産業もウンコと化す可能性があり、全体で見たら、サクセスしているのは一部だけやん』、
とITエンジニアからすると思ってしまうのです。
ただし、SESもメリットがあるため、ここまでこの事業が大きくなったとも言えます。
メリットもありますが、副作用が大きく、最適化されていないのです。
そのため、日本のSESは色々な意味で闇が深いのです。
一方、ITエンジニアが不当な扱いではなく、逆に優遇され(優遇とは言えないかも…)、ITエンジニアの派遣を受け入れた企業側が損するパターンもよくあります。
SESに限らず、他の業種の派遣も同じですが、能力が相当低い人材が派遣されてくることが多々あります。
特にITの分野は高い専門知識が必要となるため、(一部の優秀は人は除き)ちょっと勉強しただけの人がまともなシステムを作れないです。
しかし、SESでは、ちょっと勉強させただけで、あとは経歴書を盛りに盛って(というか、経歴詐称だろと言いたくなるレベル)、企業に送り込むのです。
これもSESの闇の1つで、大きな問題となっています。
ちなみに、私も仕事でそのような問題に当たってしまったことがあり、SESを受け入れなかった方が仕事が進んだのでは?と思ってしまうことがありました。
派遣されてきた人の開発スキルや物事を考えるスキルが相当低く、説明するだけで多くの時間を浪費し、派遣されてきた人の成果物は酷くて、私が一から作り直しということがありました。
そのような派遣の人、1人につき1ヵ月100万円を仲介したSES企業に払ったりするので、バカらしくなります(SES企業からしたら、ぼろ儲けです)。
こういうこともあり、私がTwitterでSES事業に対する批判を何度もツイートしていた所に、「Success Holders」がIT人材派遣と発表したので、おいっ!となりました。
「Success Holders」の公式Webページの事業サービスの説明のページに以下の説明があります。
テクノロジー事業は、ネットワークやサーバ等のインフラ構築を専門とした技術者の育成と派遣サービスを中心に、基幹システムやITプロダクト等の開発から保守メンテナンスまで、幅広くご支援する事業です。
この文章で気になったのは、「ネットワークやサーバ等のインフラ構築」という言葉です。
ITエンジニアの派遣といっても、インフラエンジニアに絞ったような書き方です。
「Success Holders」から現在出ている求人を見ても、やる内容はインフラ領域に絞っていました。
なぜインフラに限定しているのか気になりましたが、私の思いつく推測の理由は以下です。
- インフラは開発後の保守まで関わってくるため、派遣するITエンジニアの契約期間を長くできたり、保守費で稼ぐことができる
- インフラエンジニアの需要が大きい傾向にある(実際にそうなのかは知らないです)
- インフラエンジニアの単価が高い傾向にある(実際にそうなのかは知らないです)
- 現在「Success Holders」の社内にいるエンジニアがインフラ寄りの人ばかり(実際にそうなのかは知らないです)
なぜインフラエンジニアに絞っているかは、IT業界にいる身として個人的に気になります。
株主なら企業に問い合わせたり、株主総会等で質問したら返答してくれそうではありますが、それを知りたい株主はあまりいなさそう(株価に直結するわけでないので)。
どのようにIT人材派遣業を成長させるのか
フリーペーパー事業の経験を活かし、人員配置や管理ができるといっても専門知識が必要なIT業界のため、”本来なら”、派遣先企業が望むシステム開発にマッチしたスキルを持つ人材を派遣する必要があり、IT知識がない人がそのマッチ判断を行うことはできません(AIマッチングシステムや詳細なマッチングルールがあればIT知識がなくても可能でしょうが)。
「本来なら」と書いた理由は、既にあるSES企業がそこのマッチングスキルが低く、そもそも経歴詐称に近いことをやって企業に人材を斡旋しており、”本来”の役割を放棄して、超ええ加減に企業に人材を紹介している状況のため、それと同じようにするならば、IT知識がなくてもIT人材派遣業を行えるでしょう。
また、社内でIT人材の教育をすると述べているため、教育する担当者が必要であり、社内のIT人材不足が課題になっていると思われる「Success Holders」には、IT人材の補強が必要だと考えられます。
そのため、IT教育やIT人材派遣業を進めるにあたり、できるなら早期に、以前から会社が言っているIT系のスキルを持つ人材を抱える企業やSES企業をM&Aした方が良いのではないかと思います。
以前からM&Aと強調していて、IT系の人材も補強したいだろう状況のため、1年以内にはM&Aするのではと予想します。
1年以内とちょっと期間に幅を持たせたのは、できるなら早期にM&Aした方が良いのではと思うのですが、「Success Holders」の求人の説明を読むと、自社で一から全部がんばる感が出ていたので、そんなにすぐにM&Aする気はないのだろうかと思ったからです。
今後の株価の行方
「EVO FUND」が絡んでいたため、仕手上げをしてくるのかなと思っていたのですが、今の所、何もない状態です。
「継続企業の前提に関する注記」の記載解消のお知らせが出た時に、仕手上げしてくる可能性が少しはありましたが、一瞬上がっただけで終わりました。
私は、決算発表でM&A等の好材料が出る可能性に賭け、そこまで粘りました。
結局出た株価に影響しそうな材料は、「継続企業の前提に関する注記」の記載解消のお知らせだけで、それでちょっとでも株価が上がってくれないかなと願っていましたが、次の営業日の朝の株板の気配が全然強くなく、もういいやと思い寄りで売りました。
私が寄りで売った直後に、一瞬急騰したため、もったいない感がありましたが、仕方ないです。
株を保有中、一時は+50%まで上がったのに、結局、ほぼ利益なく撤退。
今回のギャンブル投資は、勝ちも負けもしない引き分けという結果に終わりました。
サクセスできませんでした。
しかし、株価として本当にこれで終わるのか気になっています。
1年以内に1回くらいは仕手上げが来てもおかしくないかなぁ~とは思っています。
その時の材料としては、M&A材料でしょうか。
ただし、新規事業発表が地味なものだったため、M&Aできる手持ち資金からして、M&Aも株価を大きく押し上げる材料にはならない可能性があります。
提携なら契約内容によっては大金を必要としないため、有名企業と提携となれば株価は上がるでしょう。
どこの企業をM&Aするのか、いつM&Aが来るのかがわからないため、それまで資金が拘束されることを避けたいということもあり、私は一時撤退しました。
株価は、現時点の推移だけ見ますと、200円前半が底値となっているため、今の220円辺りは買っていても、損失リスクはそこまで高くないと考えられ(あくまで現在までの株価の推移だけを見ての判断です)、長期目線で保有する分にはアリだとは思います。
抱えるリスクとしては、IT人材派遣ビジネスが企業の想定より順調に進まないということにならないかどうかです。
さすがに、そこまではどうなるか現時点では全く読めないため、投資する人は運を天に任せるしかないでしょう。
チャンスと思える状況になったら、また株を買うかもしれません。
株主にサクセスあれ!
あと、日本のITエンジニアがサクセスするようなIT人材派遣ビジネスをやって欲しいと期待しています。
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